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2.おもな集計結果と分析
 本調査では、「測量法等に関する諸手続きの現況」について設問別に、「公共測量事業」について種別、目的などに分類し項目別に、また「GIS構築に関する現況」について集計を行いました。
 なお集計結果において「トータルステーション」を「TS」に、「ディジタルマッピング」は「DM」と表しています。

(1)測量法等に関する諸手続きの状況
1)作業規程の整備  (表−2)
計画機関
区 分
整備数 モデル
規程準用
独自 他
国の機関17516114
都道府県32126556
市町村995758237
公社公団 他601941
合 計1,5511,203348

 モデル規程
建設省公共測量作業規程
建設省土地区画整理事業測量作業規程
農林水産省構造改善局測量作業規程
モデル規程準用が1,203機関78%、(前回調査66%)と大幅に増加しており、モデル規程の信頼性が浸透していると推量されます。
モデル規程以外の使用では「地籍調査作業規程準則」を準用している町村が多かったです。


2)建設省公共測量作業規程改正の周知  (表−3)
計画機関
区 分
知っている知らない
国の機関14926
都道府県26950
市町村777209
公社公団 他537
合 計1,248292

周知度は、回答全体の1,248機関(81%)であった。市町村で「知らないとしている」回答の比率がやや高くなっています。


3)測地成果2000導入の周知  (表−4)
計画機関
区 分
知っている知らない
国の機関75100
都道府県184133
市町村765222
公社公団 他3129
合 計1,055484

「知っている」と回答したのは全体の1,055機関(69%)、また国の機関で「知らない」が「知っている」の率を上回っています。
 平成11年度に全国の公共測量計画機関を対象に開催した「測地成果2000導入に伴う説明会」実施前の周知率としては高率となっています。

4)測量成果の公開・閲覧交付費用  (表−5)
計画機関
区 分
測量成果の公開状況測量成果の閲覧・交付にかかる費用
公 開非公開有 料無 料その他
国の機関531125789
都道府県1261642218235
市町村84212471083287
公社公団 他19401343
合 計1,0404407381,126134

市町村で「公開」が高率なのに対して、国の機関や県で「非公開」としている機関が多く、地域・住民に密着した機関が高率となっています。
閲覧・交付について「無料」としている機関が「有料」を上回っています。

5)公共測量作業計画書の提出  (表−6)
計画機関
区 分
提 出未提出その他
国の機関1095710
都道府県1281885
市町村54442130
公社公団 他38202
合 計81968647

公共測量の実施計画書について「提出している」は、819機関(53%)でした。
事業件数5,221件でみると届け出数は3,011件で58%となっています。

6)測量成果・測量機器検定の受検  (表−7)
計画機関
区 分
測量成果検定
測量機器検定
事業件数
受検数
回答総数
受検数
国の機関1,206552610575
都道府県1,577349919744
市町村2,1115531,114735
公社公団 他327137207174
合 計5,2211,5912,8502,228

「成果検定」は、地方公共団体の受検率が2割台となっています。
「機器検定」は、市町村でやや低いですが全体的に見ると8割近くが受検しています。


(2)公共測量事業の状況
1)測量種別事業量  (表−8)
事業量
測量種別
件数
(件)
面積
(km2
延長
(km)
観測
点数
永久標識
設置点数
経費
(万円)
経費/件
(万円)
平均事業量
/件
GPS基準点測量852895.585129,10517,542721,12884634点
TS基準点測量1,2411,145.610,677124,58634,6301,101,488888100点
その他の基準点測量130109.999617,809528227,2961,748137点
水準測量377335.77,7152,0451,528172,36745720km
縦横断測量561682.57,6901,190250549,50298014km
TS地図作成6735,330.583212,2432,7771,642,2462,4408km2
TS地図修正54464.31531,67368498,9601,8339km2
平板測量4271,344.33693,9624991,110,0462,6003km2
平板測量修正7262.11,031612574,0911,0291km2
既成図による修正38962.21924136,94597225km2
写真測量2213,547.31,810395116416,7671,88616km2
写真測量修正944,998.512210115214,9472,28753km2
DM1224,083.04306829375,6563,07933km2
DM修正13487.900068,4405,26538km2
既成図数値化481334.515162102258,1795,37928km2
写真図183,062.41,0660018,7731,043170km2
地図編集986,943.5331035,20735971km2
白黒撮影493,182.535313028,16257565km2
カラー撮影13315,309.552116292,352694115km2
総 合
5,22154,281.734,826194,01758,7087,242,5521,387

 測量種別ごとに事業量及び経費について集計したのが(表−8)になります。
 TSを利用した測量が事業件数の38%、事業総経費の39%と高い率を示しています。
 空中写真は白黒・カラー合わせた18,492km2は事業面積の34%となり、これは四国4県に匹敵する面積となります。
 経費について事業件数5,221件で724億円でしたが、前回(平成7年度)の事業件数10,728件で769億円と比較すると1件当たりの経費がかなり高額になっている。測量種別ではDMや既成図数値化で1件当たり3,000〜5,000万円と高額な測量となっています。


2)測量目的別事業量  (表−9)
事業量
測量目的
件数
(件)
面積
(km2
延長
(km)
観測
点数
永久標識
設置点数
経費
(万円)
経費/件
(万円)
都  市44313,135.91,06111,1153,7941,167,5822,636
生活環境3691,502.24,4806,4561,700737,6861,999
道  路1,9479,921.211,47150,8169,1741,638,423842
鉄  道463,746.639661819150,0721,089
港湾・空港4819.761745310628,988604
海  岸20248.63853392212,787639
治  山694,152.81841,3023699,9781,449
治  水4706,288.74,1257,4531,236601,8251,280
森  林531,190.46188036,947697
農林基盤6744,182.31,14216,7056,395508,770755
鉱 工 業0000000
地  籍7981,774.810,21594,68034,5302,089,1792,618
調査・研究4058.412871129,737243
災  害761.61916902,453350
総合計画581,720.61851,3411,215164,5492,837
そ の 他1796,277.23571,77130793,576523
合  計
5,22154,281.734,826194,01758,7087,242,5521,387

 件数を前回平成7年時調査と比較すると「道路」が全体の37%を占め、前回調査時(38%)と変わらず最多となっています。他の測量でも率は同じ傾向となっているものの「地籍」については前回9%から今回15%に率を増加させています。
 事業経費総額でみると、「地籍」が全体の29%を占めており、1件当たりの経費で見ると「総合計画」「都市」「生活環境」が比較的高額となっています。また「生活環境」「治山」「総合計画」は前回平成7年時調査と比較すると1件当たりの経費で3倍以上に伸ばしています。


(3)GIS構築に関する現況
1)回答件数と導入状況
GIS導入で回答のあった機関について集計しました。  (表−10)
計画機関
区 分
照 会
件 数
回 答
件 数
導入済検討中未検討
国の機関505134471374
都道府県1,233231179205
市町村3,263881204152525
公社公団 他2384751131
合 計5,2391,293273185835

 1,293件の回答のうち、既に導入済みの機関は21%であるのに対して、未検討としているのは65%となっており、なかでも都道府県・市町村での率は高くなっています。
2)GIS導入の業務  (表−11)
導入
業務
地籍 固定
資産
道路
確認
都市
計画

水道

水道
農林 河川
管理
管財 消防
防災
その
合計
件数29027726619519017416014269632112,037
比率14%14%13%10%9%9%8%7%3%3%10%

複数回答可で(導入予定も含む)
この結果により、GISはどの業務にも導入及び対応し、統合型の導入が有効であることがうかがえるます。


3)GIS利用状況  (表−12)
計画機関
区 分
国の機関9294280
都道府県31782102
市町村41235219495
公社公団 他0111223
合 計53292355700

1:全庁GISとして地図データ等を共用
2:各業務分野毎だが将来的に統合を検討
3:現状で問題なく、統合の検討無し
全庁型で導入を検討している機関と、統合は検討していない機関とほぼ同数の結果となりました。


4)GIS使用地図データ  (表−13)
計画機関
区 分
国の機関3810654
都道府県1013326
市町村2431427284
公社公団 他120113
合 計3033737377

1:公共測量成果として整備されたデータ
2:国土地理院から刊行されているデータ
3:民間から販売されているデータ
GISで使用する地図データは、基本測量成果及び公共測量成果を使用している場合が多く、民間から販売されているデータ使用はわずかでした。

3.公共測量の推移  (表−14)

作業件数
(件)
作業経費
(億円)
経費/件
(万円)
昭5514,334811567
昭5810,656870816
昭6111,839966816
平113,035818628
平48,309750902
平710,728796742
平105,2217241,386

作業の件数は、前回と比較して半減していますが、一件あたりの経費では倍増しています。

4.まとめ
 今回設問項目を増やし、測量法に基づく手続き等の周知状況、各計画機関におけるGIS導入状況及び検討状況を把握することができ、今後の公共測量の啓発や助言・指導を行う上で参考となる結果が得られました。
 21世紀の高度情報通信社会を進めていく上で、公共測量成果は情報インフラ整備に大きく貢献することになります。調査の結果GISに使用する地図や、生活に密着した測量・地図作成等が増加し、内容が多様化・高度化し、公共測量への効率的な投資、公共測量成果の効果的な活用が一層期待されています。
 調査方法や内容について、今後も更に検討を行って公共測量行政を進める上で一層役立つものとしていきたいと考えます。
 おわりに本調査の実施にあたりご協力をいただいた関係各位に深く感謝の意を表します。



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