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地図データの品質とその評価に関する指針第1版(案)

 本指針は、地図データの利用者、利用する地図データが満たすべき品質に関する要件を提示するとともに、具体的な品質評価の手順及び評価結果を記録する上で必要な事項をまとめたものです。

 今回公開する指針第1版(案)は、平成12年度に作成した「地図データの品質とその評価に関する指針(案)」のパブリックコメント(平成13年5月10日から6月15日)に寄せられた意見内容を参考にするとともに、「地理情報システム(GIS)関係省庁連絡会議幹事会(第14回)」(平成13年7月27日)において「第1版(案)」として了承されたものを掲載しました。また、付属書についても地理情報標準第1.1版及びパブリックコメント等の意見募集内容を参考に見直しを行いました。

 付属書の全文をPDF型式でダウンロードできます。

地図データの品質とその評価に関する指針(案)

1.総論

1.1.目的

 本指針は、地図データの利用者が地図データを調達するにあたって、ISO/TC 211規格原案(以下、「規格原案」)及び我が国の地理情報標準第1.1版(以下、「地理情報標準」)に準拠して地図データの品質要件を提示し、その評価を具体的に実施するための指針であり、参考資料として活用されることを目的としたものである。このため、本指針は、GISモデル地区実証実験における検討結果を踏まえつつ、地図データの品質及び評価に関する規格原案及び地理情報標準の考え方を解説し、さらに、品質の提示と評価の事例を添付している。なお、規格原案及び地理情報標準は絶えず更新されているため、その時点の最新版に準拠するものとする。また、規格原案等に基づき、当該項目が日本工業規格(以下,「JIS 規格」という。)として制定されたときは、文中「ISO/TC 211規格原案(以下、「規格原案」)及び我が国の地理情報標準第1.1版(以下、「地理情報標準」)」、「規格原案及び地理情報標準」のそれぞれを「地理情報に係るJIS規格」と読み替える。

1.2.適用範囲

 本指針は、デジタル化された地図データ(空間データ基盤標準項目その他の地図データ、空中写真、人工衛星画像及びそれらに相当する画像を含む。以下同じ。)について、利用者が規格原案及び地理情報標準に準拠する地図データの品質要件の提示と、その評価を具体的に実施する場合に適用する。

1.3.指針の概要

 本指針は、調達しようとする地図データの情報項目の選択と品質要件の表示に関する事項を「2.品質」の節に、また、地図データの品質評価の手順と評価結果の記録に関する事項を「3.品質の評価」の節にとりまとめた。さらに、国土交通省公共測量作業規程(平成7年度国土交通大臣承認)にこれらの考え方を適用した事例を参考資料として「4.適用事例」にとりまとめた。各節で示した表については利用の便を考え、末尾の「5.付属書」にまとめている。

1.4.指針の構成

 1.総論
 2.品質
 2.1.品質についての基本的考え方
 2.2.品質要件の表示の方法
 3.品質の評価
 3.1.品質評価についての基本的考え方
 3.2.品質評価の方法
 3.3.品質評価結果の記録
 4.適用事例
 4.1.品質要件
 4.2.評価手順
 5.付属書
 5.1.品質副要素の表 [PDF 25KB]
 5.2.品質要件の表 [PDF 21KB]
 5.3.品質評価手順(直接評価手法)の類型化の表 [PDF 321KB]
 5.4.品質要件の表(国土交通省公共測量作業規程への適用例)
   空中写真からDMの品質要件 [PDF669KB]
   既成図のDMの品質要件 [PDF277KB]
   画像の品質要件 [PDF28KB]
 5.5.品質評価手順の表(国土交通省公共測量作業規程への適用例)[PDF48KB]

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2.品質

 地図データの利用者は地図データを調達するにあたって、必要とする情報項目を選択し、その定義を与え、それぞれの情報項目ごとに必要な品質を以下の考え方に沿ってとりまとめ、地図データの供給者に提示する。

2.1.品質についての基本的考え

 地図データの品質は、実世界と作成されたデータセットとの比較により決めるのではなく、利用者の要件にしたがって決まる「理想データセット」と作成されたデータセットの食い違いによって定義される。したがって、作成されたデータセットが実世界とどれほど食い違っていようとも、利用者要件に合致していれば、それは利用者にとっての「理想データセット」であり、その利用者にとっては高い品質のデータセットであるといい、食い違いの大きいものほど品質は低いということになる。
 なお、「理想データセット」とは、実世界から利用者要件に合致するもののみを忠実に集めたデータ群である。また、利用者要件とは、利用者が要求するデータの仕様で、どのような情報項目をどのような条件で取得するかを示したものである。この場合、データ作成の元となる資料(以下、「元資料」という)を特定する必要がある。元資料の例としては、空中写真、紙地図、台帳、統計資料などがある。

2.1.1.品質に関する用語の定義

2.1.1.1.品質
 「理想データセット」と実際に作成されたデータセットの食い違い。

2.1.1.2.利用者要件
 利用者が要求するデータセット作成のための仕様。利用者が地図データの発注にあたって作成する仕様書の技術上の指示事項にあたる。

2.1.1.3.品質要件
 利用者が要求するデータセットの情報項目の定義と情報項目に対する品質を表し、理想データセットの定義と利用者がデータセットの受入の際に許容する適合性品質水準を記述したもの。
 (例)利用者が品質要件の中で完全性についての適合性品質水準として「100%」を求めた場合は、完全性については理想データセットを求めたことになる。

2.1.1.4.理想データセット
 実世界から利用者要件にしたがって忠実に誤りなく作成されたデータ群。
 (例)利用者要件として「1/2,500図面を元資料として、1/2,500図上に描かれている道路のうち幅員1m以上の道路すべてを取得する」とした場合の理想データセットは、1/2,500図面に描かれている情報から1m以上の道路のみをすべて抽出したデータ群をいい、現実の世界との差異は問題としない。

2.1.1.5.品質結果(または定量的品質結果)
 作成されたデータセットの品質を測定した結果の値、もしくは値の集合で、作成されたデータセットと利用者要件に記述された理想データセットとの相異を数値で示す。
 (例)理想データとして「完全性100%」を要求しても、品質測定の結果「漏れX%」のデータとなることがある。

2.1.1.6.適合性品質水準
 品質結果が利用者要件に適合しているか否かを判定するために指定する品質の水準で、利用者が受入検査に際して許容する品質結果のしきい値。あるいはデータ作成者が行う出荷検査(社内検査)に際して許容する品質結果のしきい値であり、品質要件に含まれる。品質結果がこのしきい値より良好である場合、そのデータは合格と判定される。
 (例)品質結果が「漏れX%」、適合性品質水準が「漏れY%未満」とすると、X<Yであれば「品質結果」は「合格」、すなわち納品可又は出荷可と判定される。

2.1.2.品質要素の考え方

 品質要素は、実際に作成されたデータセットを定量的に品質評価するための品質情報大項目である。品質情報の大項目は次のように分類される。データ利用者は自らの判断でこれらの要素を取捨できる。また、これらの項目とは独立に、利用者自身が品質要素を定義し追加してもよい。

完全性:
作成されたデータセットの地物、地物間関係及び地物属性と、利用者 要件に定義されている地物、地物間関係及び地物属性との一致度を表す 品質要素
論理一貫性:
作成されたデータセットの構造規則及び地物属性のコード化が、利用 者要件に定義されている構造規則及び地物属性のコード化に適合してい るか否かを示す品質要素
位置正確度:
作成されたデータセットの位置が利用者要件に定義されている位置に 適合しているか否かを示す品質要素
時間正確度:
作成されたデータセットの地物、地物属性及び地物間関係の時間に関する属性が、利用者要件に定義されている地物、地物属性及び地物間関係の時間に関する属性に適合しているか否かを示す品質要素
主題正確度:
作成されたデータセットの地物・地物属性の分類及び地物属性の値が、利用者要件に定義されている地物・地物属性の分類及び地物属性の値に適合しているか否かを示す品質要素

 

2.1.3.品質副要素の考え方

 品質副要素は、品質要素をさらに細分化したもので、定量的に品質評価するための品質情報小項目である。データ利用者は自らの判断でこれらの要素を取捨できる。また、これらの項目とは独立に、利用者自身が品質副要素を定義し追加してもよい。利用者が求める品質副要素は「取得項目の品質要件」の表に記述される。品質副要素の詳細は5.1.節の「品質副要素の表」のとおりである。

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2.2.品質要件の表示の方法

2.2.1.表示方法の概要

 規格原案及び地理情報標準に準拠して品質要件を表示する場合は、利用するデータセットで必要となる情報項目を選択して、それらの分類・定義を明確にし、それぞれの情報項目ごとに適用する品質要素を選定し、さらに、選定した品質要素ごとに品質副要素を選択する。また、選択した品質副要素ごとに適合性品質水準を定める。
 この表示例として5.2.節に「品質要件の表」をまとめた。

2.2.2.表示方法の詳細

 以下の事例は、情報項目「境界等」について「取得項目の品質要件表」を作成した一例で、品質副要素、誤率の計算式についての説明を要素項目別に示す。
 事例の計算式は、情報項目「境界等」の場合の計算式の一例であり、取得する地物の項目、定義、空中写真の画像等、に応じて適宜変更することが必要である。

2.2.2.1.分類及び定義
 地図データとしての情報項目の分類、定義は、品質要件の表に記述する。
 表−1は、大分類「境界等」− 分類「境界」に属する情報項目を例として、分類及び定義の必要事項を記載したものである。

表−1 情報項目の分類、定義の例
分類及び定義 大分類 境界等
分類 境界 境界とは、行政区画の境をいい、都道府県界、北海道の支庁界、郡市・東京都の区界、町村・指定都市の区界、大字・町界・丁目界及び小字界に分類される。
コード・項目 1101 都府県界
1102 北海道の支庁界
1103 郡市・東京都の区界
1104 町村・指定都市の区界
1106 大字・町・丁目界
1107 小字界
1110 所属界
各レベルにおいて、相当縮尺の(1)既成図に表示されている境界図形としての境界線を取得する。異なる種類の境界が重複する部分の優先順位は、コードの小さい順とする。

500レベル : 既成図に表示のすべての項目
1000レベル: 500レベルと同じ
2500レベル: 小字界を除く既成図に表示のすべての項目
データタイプ :線
 (1)既成図:地図データの元資料となる紙地図。

2.2.2.2.完全性
 品質要件の表には、該当する情報項目の完全性を記述する欄を含めることができる。過剰、漏れについて、作成されたデータセットと理想データセットとの差異を誤率として表し、利用者が利用目的に照らして許容できる誤率のしきい値を適合性品質水準として記述する。
 品質要件における完全性の誤率の計算は、下記の表−2に示した計算方法によることができる。
 注:アイテムとは品質検査の際に対象とする最小単位であり、個々の地物、レコードなどが対応する。そこで、アイテム数は、要素数、レコード数及びデータ数などに適宜読み替えてよい。また、誤率の数値が白抜き(□%以内)となっているところは利用者がデータの利用目的に照らして許容できるしきい値を設定することを意味している。以下の品質要素についても同様。

表−2 完全性における誤率の計算方法および適合性品質水準の例
品質要素 適合性品質水準
完全性 過剰  誤率=(O)÷{(A)+(L)−(O)}×100 (%)  誤率:□%以内
漏れ  誤率=(L)÷{(A)+(L)−(O)}×100 (%)  誤率:□%以内
 O=過剰アイテム数、L=漏れアイテム数、A=品質適用範囲内のアイテム総数

2.2.2.3.理論一貫性
 値域一貫性、フォーマット一貫性、位相一貫性について、評価の対象となる項目を示し、それらについて利用者(発注者)が利用目的に照らして許容できる誤率のしきい値を適合性品質水準として記述する。
 品質要件における論理一貫性の誤率の計算は、下記の表−3に示した計算方法によることができる。

表−3 論理一貫性における誤率の計算方法および適合性品質水準の例
品質要素 適合性品質水準
論理一貫性 値域一貫性 レコードタイプ、地図分類コード、要素識別番号、図形区分、実データ区分、精度区分、データ数及びレコード数は定義域の範囲であること。
 誤率=(E)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
フォーマット一貫性 DMデータファイル仕様に従っていること。
 誤率=(C)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
位相一貫性 境界線の端点は、隣接する境界線の端点と一致していること。他の線データと合一する場合は両データの座標値が一致すること。
 誤率=(F)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
 E=値域を超過したアイテム数、A=品質適用範囲内のアイテム総数、F=定められた位相を遵守しないアイテム数、C=定められた構成を遵守しないアイテム数

2.2.2.4.位置正確度
 絶対又は外部正確度、相対又は内部正確度、グリッドデータ位置正確度等について、利用者が利用目的に照らして許容できる誤差を適合性品質水準として記述する。
 品質要件における位置正確度の誤率の計算は、下記の表−4に示した計算方法によることができる。

表−4 位置正確度における誤率の計算方法および適合性品質水準の例
品質要素 適合性品質水準
位置正確度 絶対又は外部正確度 取得したデータの位置座標と元資料の位置座標の差が指定された値以下であること。
 例:マップデジタイズ2500レベルの場合。(2)元資料である既成図上で0.3mm以内とする。
 誤率=(E)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
相対又は内部正確度 関連する地物との相対位置(座標差)について、取得したデータと元資料の差が指定された値以下であること。
 誤率=(E)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
グリッドデータ位置正確度  該当せず
 E=値域を超過したアイテム数、A=品質適用範囲内のアイテム総数
 (2)元資料:この事例の場合は、既成図数値化に用いた計測用基図。

2.2.2.5.時間正確度
 許容できる誤差を適合性品質水準として記述する。時間一貫性、時間妥当性等についても同様である。品質要件における時間正確度の誤率の計算は、下記の表−5に示した計算方法によることができる。

表−5 時間正確度における誤率の計算方法および適合性品質水準の例
品質要素 適合性品質水準
時間正確度 時間測定正確度 (未定義)
時間一貫性 (未定義)
時間妥当性 取得年月が誤っていないこと。
 誤率=(T)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
 A=品質適用範囲内のアイテム総数、T=適合性品質水準に違反したアイテム数

2.2.2.6.主題正確度
 分類の正確性、定性的属性正確度、定量的属性正確度等について、許容できる誤率のしきい値を適合性品質水準として記述する。品質要件における主題正確度の誤率の計算は、下記の表−6に示した計算方法によることができる。

表−6 主題正確度における誤率の計算方法および適合性品質水準の例
品質要素 適合性品質水準
主題正確度 分類の正確性 レコードタイプ、地図分類コード、階層レベル、図形区分、実データ区分及び精度区分が誤っていないこと。
 誤率=(T)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
定性的属性の正確性 要素識別番号が一連番号になっていること。
 誤率=(T)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
定量的属性正確度 主題属性にあり得ない属性値がないこと。
 誤率=(T)÷(A)×100 (%)   誤率:□%以内
 A=品質適用範囲内のアイテム総数、T=適合性品質水準に違反したアイテム数

2.2.2.7.適用
 コード等の引用、その他の品質の表示の参考事項を記述する。下記の表−7は、既成の紙地図を元資料として地図データを取得する場合の事例である。

表−7 コードの引用、元資料を示した例
適用 コードは国土交通省公共測量作業規程のディジタルマッピング取得分類基準による
既成図からの数値化に適用

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3.品質の評価

 地図データの利用者は、調達しようとする地図データの品質を以下の考え方に沿って地図データの供給者に評価させ、自ら評価し、あるいは第三者に評価させることにより、データ受入において、品質要件を満たしているかどうかの判定材料とする。評価した品質の結果はメタデータに記録する。

3.1.品質評価についての基本的考え方

 地図データの品質評価は、行政効率化の推進や、企業コストの低減の観点に留意し、国の機関にあっては会計法第29条の11、地方公共団体にあっては地方自治法第234条の2の定めるところに基づき、適切な体制により行う。
 また品質評価は、地図データセットが持つ多様性を考慮し、評価対象項目に該当する品質要素、品質副要素等に合った品質評価方法を使用して行う。
 データの作成者(受注者)は作成したデータセットの最終検査(出荷検査)を適切な品質評価方法に基づいて行う。さらに、利用者(発注者)は納品されるデータセットの納品検査を適切な品質評価方法に基づいて行う。ただし、法令の定めるところにより検査の一部を省略することができる場合はこの限りではない。
 データ作成者及び利用者は、作成したデータセットの品質評価を行う場合は、適合性品質水準をあらかじめ設定し、作成されたデータの品質結果と適合性水準との比較により合否判定を行うことが望ましい。

3.1.1.品質評価の方法

 品質評価の方法は、データを直接検査する「直接評価手法」と、データの品質を外部情報を基に推論により評価する「間接評価手法」に分けられる。
 また、品質評価は、各地図データの情報項目の特性を考慮しつつ、品質要素を選択して行う。

3.1.1.1.直接評価手法
 データセットをプログラム又は人間により直接検査し評価する方法で、データセット内だけの情報で評価する「内部直接評価」とデータセット以外の情報を参照して評価する「外部直接評価」に分けられる。

3.1.1.1.1.内部直接評価手法と外部直接評価手法
 取得したデータセットに記録されている情報だけで直接評価する内部直接評価手法と、データセットの外部にある情報(例えばデータ作成時に使用した空中写真や基図)と取得したデータを直接比較・評価する外部直接評価手法がある。

3.1.1.1.2.自動検査と目視検査
 プログラムによる自動検査と目視検査があり、それぞれ単独で使用するケースと、組み合わせて使用するケースが考えられる。

3.1.1.1.3計量検査と計数検査
 (a)計量値による検査:利用者要件に規定された値との差異を計測することにより検査する。
 (b)計数値による検査:利用者要件に適合しないものの数を数えることにより検査する。

3.1.1.1.4全数検査と抜取検査
 (a)全数検査:対象とするデータのすべてを検査する。
 (b)抜取検査:対象とするデータの一部を抽出して検査する。この場合は、抜取の方法を検査結果と共に報告する。

3.1.1.2.間接評価方法
 「間接評価手法」は、外部の知識又は情報を基にして推論により品質を評価する方法で、取得したデータセットの内容を見ることなく、外部の知識又は情報を基にして推論により品質指標値又はデータセットの品質結果の合否を決定する方法。外部の知識又は情報としては、作成時に使用した元資料の品質情報、作成方法又は作成システムなどがある。
 作業工程からの推定には、
 (a)メタデータの履歴情報に記述された作業工程を参考情報として品質を推定する方法
 (b)例えば、作業規程に基づき得られたデータについては、精度管理表などの測量記録により評価を行う方法
 などが挙げられる。

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3.2.品質評価の方法

 品質評価には、地図データに求められる品質、検査に要する費用、データに瑕疵があった場合の影響などを考慮して、適切な品質評価手順を採用する。

3.2.1.品質評価手順の適用

 品質評価手順は、作成者の最終検査(出荷検査)と利用者の受入検査の双方に適用することができる。また、作成者における工程間の検査に利用してもよい。

3.2.2.品質評価手順の類型化

 地図データに対して実現可能性の高い品質評価手順を直接評価方法について類型化し、各品質副要素ごとに評価の概要を5.3.節の「品質評価手順(直接評価手法)の類型化の表」に取りまとめた。現在のところ、地図データの検査に抜き取り検査による方法を用いた例として、国内では実証実験を行っている例はあるが、実際の運用に用いている例はない。海外でもフィンランドなどで適用されているもののまだ多くない。このため、本指針においては下記の3つの観点から、抜き取り検査の方法としてJIS Z9002を採用し、抜き取りの単位として地図データを一定の大きさのグリッドで分割した「検査図郭」とすることを提案している。
  1)現在行われている地図データの検査にできるだけ近い形態とする。
  2)抜き取り検査の方法には既存の実績のある規格を採用する。
  3)既存の規格の中でもっとも単純なものを採用する。
 したがって、本指針に示した品質評価手順はひとつの事例であり、今後、多様な品質評価手順が開発されることが期待される。
 なお、評価対象成果の種類や情報項目、作成作業の方法、検査に要する費用などにより、直接評価方法よりも間接評価方法が適していると判断されるものもある。

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3.3.品質評価結果の記録

 品質評価の結果は、地理情報標準メタデータとして記録し、あるいはより詳細な品質評価報告書として記録する。

3.3.1.メタデータの記録仕様

 規格原案及び地理情報標準では、日本におけるメタデータおよびクリアリングハウスの普及を促進するため、日本版メタデータプロファイル(JMP)を策定している。メタデータの記録仕様は当面JMPに準ずることが望ましい。

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4.適用事例

4.1.品質要件

 国土交通省公共測量作業規程に基づく数値地形測量で得られる地図データ(DM、MD)及び測量用空中写真(作業規程上の規定はないが、空中写真には人工衛星等から得られる画像を含める)について、規格原案及び地理情報標準の品質の考え方を適用した場合に品質要件がどのようなものになるかを検討し、その検討結果を適用事例として5.4.節の「品質要件の表」にとりまとめた。

4.1.1.適用事例における品質要件

 本適用事例は、元資料を完全に再現した理想データセットとし、品質は作成されたデータセットと理想データセットの違い、すなわち作成されたデータセットがどれくらい忠実に(実世界ではなく)理想データセットを再現しているかの程度を表す。したがって、品質副要素の記述内容は、理想データセット(元資料)により記述内容が異なる。

4.1.1.1.既成図数値化(マップデジタイズ:MD)
 紙地図を数値化(デジタイズして数値データを得る)する作業の品質要件においては、元資料である紙地図上に図式表現された各情報からデジタル化された地図データ(属性精度、位置精度、データ間関係等)をいかに忠実に取得するかを記述する。品質評価はデジタル化された地図データと紙地図との比較により行う。

4.1.1.2.空中写真からの直接数値図化(デジタルマッピング:DM)
 空中写真を用いて数値図化(デジタル化)を行って、直接に空中写真から数値地図データを得る作業では、
  (1)写真上に写るデータ
  (2)写真上に写らないデータ(地物の属性や境界線など)
 の2種類のデータのそれぞれ特性に合わせて品質の記述を行う。

4.1.1.2.1.写真上に写るデータ
 写真上に写るデータの品質要件は、元資料である空中写真からどれくらい忠実にデジタル化された地図データを取得するかを記述する。品質は、
  (1)そのデータ取得に用いた空中写真とデジタル化された地図データとの比較による評価
  (2)デジタル化された地図データとそのデータ取得時に利用した空中写真を用いて図化(再図化)したデータ(又は再図化データの出力図)との比較による評価
  (3)間接評価手法による評価
 などにより評価する。
 ただし、間接評価手法による場合は、
  (i) 位置正確度の評価は工程管理記録などからの推論により行い、間接評価手法と地上での実測を相補的に利用する。
  (ii) 完全性の評価は現地調査の記録を利用する。

4.1.1.2.2.写真に写らないデータ(行政界、街区界)
 写真に写らないデータの品質要件は、元資料とした現地調査記録や各種資料をどれくらい忠実にデジタル化された地図データで再現するかを記述する。品質はデジタル化された地図データと現地調査記録や各種資料との比較により評価する。

4.1.1.3.空中写真・人工衛星画像
 空中写真の品質要件は、写真撮影の欠落、画像の視認性、隣接写真間の重複、気象的・機械的撮影状況の良否等により記述する。
 人工衛星画像の品質要件は、空中写真に準じた品質要件の他に、幾何補正された正射画像を使用する等について記述する。

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4.2.評価手順

 適用事例で示した情報項目ごとに、データの作成者と利用者のそれぞれに適していると考えられる手順を、5.3.節の「品質評価手順の類型化の表」から選んで「品質評価手順の表」として5.5.節に取りまとめた。

4.2.1.分類及び定義

 地物項目の分類及び定義の表は第2.2.2.1節の品質要件の「分類及び定義」を用いている。

4.2.2.評価手順

 評価手順は、5.3.節の「品質評価手順の類型化の表」からデータ作成者による出荷検査に適したもの、データ利用者による受入検査に適したものをそれぞれ選択して記載する。なお、ここで取り上げた直接評価手法によらず、間接評価手法を適用することも考えられる。
 また、規格原案の趣旨に照らし、データ作成者による出荷検査やデータ利用者による受入検査では、5.3.節の「品質評価手順の類型化の表」の記述内容を適宜修正し、又は新たな指標を追加して利用することもできる。

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